

連載コラム
『もりさんぽ』
タウンマネージャーもりさんによる久留米の街ネタ・小ネタ。
毎月1話ずつ更新していきます。
皆さまからの情報もお待ちしております!
2023年10月号
『もりさんぽ』
「○○さんが、見ている…。」
先月中旬に、大阪府に足を運ぶ機会がありました。大阪府は、東大阪市にある布施商店街界隈。花園ラグビー場や近畿大学本部が所在する近鉄沿線の街です。目的は、商店街内「空き店舗」をリノベーションし再生、ホテルとして利活用している、『SEKAI HOTEL FUSE(セカイホテル布施)』の仕組みを、経営者自らに聴くことでした。
ホテル支配人に、商店街をご案内頂きながら点在するホテル(そもそも空き店舗でした物件)を、見て歩いている時のこと。とある店舗が気になりました。元は、大阪下町の味と言える「お好み焼き屋」さんだった様で、店頭には看板がそのままに残っておりました。その店舗前で、おばあさんが「七味とうがらし」を商っています。かつてはよく見た、その場で注文を受けてから山椒や他の薬味を調合して販売するスタイルでした。私は、無類の山椒好き。「山椒を多めに」とリクエストしました。一見して、旅の人と思われたのでしょう、
「どこから来はりましたか」と尋ねられます。「福岡は久留米から」と答えると、「久留米は水害で大変どしたなぁ・・・」と言われました。心の底から「お見舞い」を申されたと感じました。私が、「大阪も、(数年前の台風や地震で)大変な時がありましたですね」と、申しますと「いいえ、太閤はんが見てはりますから・・・」と言います。大丈夫ですよ、お見守りがありますからと、今も豊臣秀吉公が生きているかのようにおっしゃいました。
確かに齢を重ねると、神仏を敬う気持ちや、畏怖の念を感じることが増えました。商店街に近い久留米宗社「日吉神社」様には、よく参りますし、水天宮様、高良大社様へも足を運ぶ機会も増えました。「見てほしい」よりも、「ありがとうございます」の心が強いかもしれません。「助けて下さり感謝申し上げます」は、飾らない気持ではあります。
そういえば友人が開いた展覧会の表題が、「おてんとうさまが、見とらす」だったことを思い出しました。「見てはります」「見とらす」と。諸々と、「ちゃんとしなければ!」と自戒する10月です。
